今回ご紹介するのは,初診時34歳3ヶ月女性です.上の前歯がでていることと,
下の前歯にでこぼこがあることを主訴として来院されました.
下が初診時のお口の写真ですが,ご覧になってお分かりの通り上の前歯は著しく突出し,
下の前歯のデコボコは縦に3列になっております.
外科手術も,インプラント矯正も一切行っておりません.
こういった症例を抜歯せずに治療することは,上アゴ前歯の後退も得られず,
自然な唇の閉鎖も,オトガイにできる梅干しの種のようなしわもなくならず,
口もとんがったまま,歯の根も骨の器を飛び出して,全部の歯がしみてくることさえあります.
国際レベルのスタンダードから論じてもあきらかに誤診であり,治療が失敗に終わるにとどまらず,
組織を損傷させてしまう危険性をも伴うことを,
生身の生体を扱う医療人としては肝に銘じておかなければなりません.
このような難症例では,矯正歯科治療計画立案のための
セファロ分析は必須です.